文書作成日:2019/11/05


 要件さえクリアすれば、寄附をした相続財産は、相続税の課税対象から除くことができます。




 先日、父が他界しました。遺言書はありませんが、「日本赤十字社に寄附したい」という父の遺志を引き継ぎ、父の相続財産のうち現金1,000万円を日本赤十字社へ寄附することにしました。この寄附をする現金について、相続税の取扱いはどのようになるのでしょうか?




 相続財産の中から現金1,000万円を日本赤十字社へ寄附した場合、一定の要件を満たすと、その現金1,000万円について、相続税は課税されません。



1.相続財産の寄附

 相続をした財産を、国や地方公共団体あるいは特定の公益法人などに寄附をした場合、又は特定の公益信託の信託財産とするために支出した場合には、一定の要件を満たすと、その寄附をした相続財産について、相続税の計算上、課税しない特例があります。

2.日本赤十字社への相続財産の寄附
 今回の日本赤十字社への寄附のような、特定の公益法人への寄附行為は、一定の要件をすべて満たすことで、相続税の計算上、その寄附をした相続財産は課税対象から外れます。

 この場合の要件とは、次の通りです。

  1. 寄附をした財産は、相続や遺贈によって取得した財産であること。
  2. 相続税の申告書の提出期限までに寄附をすること。
  3. 寄附先が、国・地方公共団体、特定の公益法人(※)であること。
    (※)特定の公益法人とは、日本赤十字社や財産法人日本ユニセフ協会等、限定されています。


 ご相談のケースであれば、相続税の申告書の提出期限までに日本赤十字社へ寄附をすると、寄附をした現金1,000万円は相続税の課税価格から外れ、相続税は課税されません。

3.寄附を行う場合の注意点

 相続財産を寄附する上での注意点は、「相続財産をそのままの形で寄附する」ことです。例えば、不動産を寄附する場合には、不動産そのものを現物のまま寄附しなければなりません。その不動産を売却した上で、その譲渡代金を寄附してしまうと、相続税の課税価格から除外できず、相続税がかかってきてしまいます。

 また、寄附をする財産の種類によって、寄附先が受け入れを拒否する場合や受け入れに時間がかかる場合があります。今回の要件には、“相続税の申告書の提出期限までに寄附をすること”とあるように、タイムリミットが設けられていますので、この特例を適用したい場合には、早めに行動をすることが必要です。


 その他にもこの特例を適用するには、細かい要件等があります。気になる方は、当事務所までお問い合わせください。


<参考>
 措法70、措令40の3、国税庁HP:「4141 相続財産を公益法人などに寄附したとき」他


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